最近の若者のパソコン離れが深刻だという記事をみました。
思えば、今はスマートフォンの全盛期であり、デスクトップを持っている若い人の割合はかなり少なくなっているようです。
ですが、パソコンの需要は決して低くなることはありません。
どの職場に行っても必ずデスクトップパソコンでの作業は必須だからです。ビジネスにおいては、スマートフォンも重要なツールですが、あくまで補助的な位置付けなのです。
さて、本日はお客様から「コンパクトなパソコン作成」を依頼されたため、レビューを兼ねて記事にしたいと思います。
パソコンの構成
部品名 | 製品名 | 価格 |
ケース | IN WIN インウィン IW-BQ656/120N | 9,700円 |
電源 | 上記ケースに付属 | |
OS | ※旧PCから移行 | |
CPU | Intel CPU Pentium G4500 | 8,000円 |
MB | ASRock H110M-ITX Mini-ITX | 9,000円 |
メモリ | CT2K4G4DFS8213 (DDR4 PC4-17000 4GB x 2) | 9,200円 |
光学ドライブ | Panasonic ウルトラスリム9.5mm SATA UJ862A | 3,000円 |
SSD | SDSSDA-480G-J26C (SSD PLUS 480GB) | 17,000円 |
グリス | AINEX HTC-01 | 1,000円 |
総合計金額 | 56,900円 |
※2017年3月現在の最安値の価格です。
ケース / IN WIN インウィン IW-BQ656/120N
「IN WIN インウィン IW-BQ656/120N」は非常にコンパクトな設計となっています。
Mini-ITXのマザーボードの箱とほぼ同じぐらいの大きさであり、片手で簡単で持ち運びできます。ケース自体は横でも縦でも設置することができます。
コンパクトさ故に、狭い場所でも置くことができるのが大きな強みでしょう。
- ※ただし、電源は120Wほどなので留意する必要があります。
- ※ケースを安定させるための台座もキチンと付属されています。
【電源について】
ケースと電源を別々に購入することになると、だいたい1万2~3千円ぐらいするものですが、「IN WIN インウィン IW-BQ656/120N」は電源が付属しています。
別途電源を購入する必要がないため、余分な出費も抑えられます。
しかし、電源は120Wしかないため、パーツ選びや外部メディアのことを考えるとちょっと注意が必要です。
また、送付音もやや気になるかもしれません。
- ※私的にはそこまで気になるレベルではないと思いますが・・・。
- ※気になる方は、設置場所を多少遠くするか、別の電源を検討しましょう。
【ケースについて】
値段の割にはチープさは感じられません。
前面のフロントパネルは今どきのオシャレなアクリルパネルを採用しており、電源投入時には、電源点灯マークがブルーライトで表示されます。
メッシュの部分も作りがしっかりしており、すぐ壊れるような感じではありませんでした。
ただ、サイドパネルを開ける際はかなり苦労しました。
ガッチリはまっているせいか、かなり力を入れないとスライドできなかったです。
サイドパネルは、ネジが一本だけであり、後部にネジがあるわけではありません。とはいえ、簡単にズレたりしないので、その点は安心できそうです。
【縦置き・横置き】
「IN WIN インウィン IW-BQ656/120N」は縦置きでも、横置きでもどちらでも可能です。
ケース内に付属の台座があるので、それをどちらかに取り付けることでスタンドとなります。
ただし、後述しますが、横向きで設置(メッシュの部分が上向き、反対側が下向き)するとなると、光学ドライブの向きが逆転してしまうというデメリットがあります。これは、お問い合わせた結果、元からこのような仕様だそうです。
なので、縦置きで使用するほうが無難でしょう。
(あきらかに設計ミスじゃないだろうかと思うのだが・・・)
CPU / Pentium G4500
Core i3でも良かったのですが、今回は出費を極力抑えたいとのことで、「Intel CPU Pentium G4500」を選択しました。
「Pentium G4500」はデュアルコアとはいえ、優れた省電力性と低価格、処理性能を発揮してくれます。よくCore i3と比較されることがありますが、下記に比較数値を乗せてきます。
【比較表】
Pentium G4500 | Core i3-6100 | |
種類 | Skylake | Skylake |
コア数 | 2 | 2 |
スレッド数 | 2 | 4 |
動作周波数 | 3.5GHz | 3.7GHz |
キャッシュ | 3MB | 3MB |
消費電力 | 51W | 51W |
GPU | HD Graphics 530 | HD Graphics 530 |
GPU EU数 | 24基 | 24基 |
価格 | 7,600円 | 14,000円 |
- ※2017年3月現在の最安値の価格です。
- ※GPUはCPU内に内臓されているものです。
当然ながら、Coreシリーズのほうが性能が上ですが、その違いも微々たるものしか変わりません。しかし、ネットの最安値の価格はなんと約2倍の差があります。
性能もほぼ一緒、内臓GPUも一緒であれば、当然価格の安いほうに軍配があがります。
なので、「低コスト」かつ「それなりの処理性能」を求めるのであれば、「Pentium G4500」は最適なCPUになります。
マザーボード(MB) / ASRock H110M-ITX Mini-ITX
今回マザーボードに選んだのはこちらの「ASRock H110M-ITX Mini-ITX」です。
最新規格のDDR4が搭載できることと、取引先の製品がPS / 2 マウス&キーボードだったためです。
Mini-ITXのマザーボードはそもそも製品の種類があまりなく、数も多くないので、これで良しとしました。
※一昔前に比べたら種類も豊富になりました。
メモリのサイズは普通のサイズでOKですが、「メモリ規格」も留意しておきましょう。
例えば、Mini-ITXの他のマザーボードによっては、SO-DIMM(ミニサイズ)のものもあるため、購入まえに検討する必要があります。
※今回の「ASRock H110M-ITX Mini-ITX」は通常のメモリ規格になります。
【製品詳細】
ソケット | LGA 1151 |
メモリ | DDR4 × 2(最大32Gまで) |
BIOS | 64Mb AMI UEFI Leagal BIOS GUIサポート機能付き |
ポート | PS / 2 マウス&キーボード × 1 |
ポート | DVI-D × 1 |
ポート | HDMI |
ポート | USB 2.0 × 2 |
ポート | USB 3.0 × 2 |
ポート | LANポート |
【BIOS】
「ASRock H110M-ITX Mini-ITX」のBIOS画面は以下のような感じです。
BIOSといえば、一昔前は小難しい印象と画面設計でしたが、最近の画面設置は非常に洗練されています。
すごく見やすいUI画面で、戸惑うこともありません。
※ただし、一部若干日本語が怪しい箇所がありますが・・。性能には問題ありません。
CPU温度やMBの温度も簡単に分かります。
画像には映っていませんが、CPUファンの回転数も調整できます。
初めての方でも、迷うことはまずないと思います。
光学ドライブ / Panasonic ウルトラスリム9.5mm SATA UJ862A
スリムタイプの光学ドライブ(ODD)がこちら。
スリムタイプのものは、よくノートパソコンなどに利用されているものです。
光学ドライブを選ぶ際にもっとも重要なのは、ケーブルのインタフェースをよく確認しておくことでしょう。
【光学ドライブのインターフェース規格】
インターフェースは次の規格があります。
Amazonなどで購入するときには、必ず製品の詳細を確認してください。
間違えないように注意して購入する必要があります。
SSD / SanDisk SSD PLUS 480G
今回は先方の要望でもある、「OS(Windows7)をそのまま使いたい」ということだったので、HDD → SSDの移行をすることしました。
旧HDDの容量が200Gぐらいだったため、SSDもそれなりの大容量が必要です。
当然、通常のクローンではOS(Windows7)を移行させることができません。マザーボードとの関係もあり、OSが正常に起動できないのです。
これを回避するためにレジストリを変更しなければならず、難易度はかなり高くなります。
また、正常にOSが移行できたとしても、今まで使用していたアプリケーションがそのまま正常に動作するかは分かりません。場合によっては、何かの原因で「紐づけ」が切れて、再認証が必要な場合もあります。
OSの移行は慎重に行う必要があります。
ケース内部と配線
ケース内部にマザーボードを設置すると下記のような感じになります。
ケースはかなりスリムなため、したがって内部の空間も狭くなります。配線がかなり限られているため、他のパーツに極力接触しないように構築するのが大変です。
電源の位置はすでに固定されているため、ケーブルの位置取りが重要になってきます。
今回の作業でこの辺りが一番苦労しました。
【前面】
配線はかなりキツイ印象ですが、隅っこを這うようにぐるっとケーブルを回すのがコツです。
本当にマザーボードの下部にケーブルを通す穴がいくつかありますが、今回は使用せずに、全て上部からケーブルを通しました。
※あとで修理がしやすいようにこのようにしてあります。
【背面】
背面は下記のような感じになります。
光学ドライブの位置は上部に、SSD(または 2.5インチ HDD)は下部に設置します。
SSDは配線の関係で、規定位置には設置せずに、隅っこに固定することにしました。
※ちゃんとした規定位置があります。
当然ながら、SSDなどのストレージは一つしか設置できません。もっと容量が必要な場合は、外付けのHDDを検討する必要があります。
— 総評 —
評価項目 | 評価 |
コンパクト | ★★★★★ |
静穏性 | ★★★ |
パワー性能 | ★★★ |
操作性 | ★★★★★ |
値段 | ★★★★★ |
拡張性 | ★ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
- ※評価はいづれも5段階評価です。
- ※独断と偏見に基づいた評価になります。
【Good / 良い点】
インターネットや、ワード・エクセルなどのOffice製品、動画を楽しむといった使い方であれば、この性能で十分だと思います。
非常にコンパクトなので設置も自由にできるし、をDDR4メモリ・SSD搭載しているので、操作性も抜群です。
OSの起動はわずか15秒程度です。
※インストールしているアプリケーションやスタートアップによって起動時間は異なります。
今回はOSの移行のため、値段には含まれていませんが、新規にOSを買うとしても、+15,000円ほどなので、総額7万円程度には収まります。
この性能で、この価格を考慮すると、十分もとが取れるのではないでしょうか。
まさにコストパフォーマンスに優れた小型デスクトップパソコンだと思います。
【Bad / 悪い点】
気になるのは「電源の容量」と「静穏性」・「拡張性」です。
電源は上記でも記述したように、120Wしかないため、パワー不足になりがちです。何個も外付けのHDDをつけたり、消費電力の高い外付けのメディアを付けると、電源が突然落ちる可能性もあります。
※よっぽどのことがないと電源不足に陥ることはないと思いますが・・・。
静穏性についてですが、電源ファンの音が気になる神経質な人はちょっと注意が必要です。電源のファンを交換するか、別の静穏性が高い電源を探す必要があります。
このケースでは拡張性については、全く期待できません。
グラフィックボードも搭載することができないため、「ゲーム」や「動画作成」などの作業は実質厳しいでしょう。
Goodでも記述しましたが、「インターネットや、ワード・エクセルなどのOffice製品、動画・音楽を楽しむ」といった用途であれば、問題ありません。
将来的に、「性能を底上げしたい」「あれもこれもやりたい!」などの人は、別の機種も検討する必要があります。
さて、「IN WIN インウィン IW-BQ656/120N」はどうだったでしょうか?
置き場所が限られているけど、それなりの性能のデスクトップパソコンがほしいといった場合には、最適なパソコンケースだと思います。
メインではなく、セカンド機として作ってみても損はしないでしょう。
今日は、取り急ぎここまで。