在日コリアンら永住外国人の生活保護受給がバッシングにさらされている。「外国人は生活保護法の対象外」と判断した7月の最高裁判決が根拠のようだが、外国人への保護費は自治体の裁量で給付されており、これが否定されたわけではない。
社会問題化しているヘイトスピーチデモでは、外国人の受給を「在日特権」と攻撃してきた。事実と反する宣伝を許さないためにも、外国人の受給権を法律に明記するよう指摘する声も出ている。「私たちは日本人と同じように暮らしているのに、なぜ国籍で線引きするのですか。除外されているようでおかしい」。
大阪府内で生活保護を受給している在日コリアン2世の男性(49歳)は、今回の最高裁判決に首をかしげる。
申請の難しさ、日本人と同じ
2008年12月、所持金が600円になったところで生活保護を申請したが、役所の窓口で「仕事を見つけて」と言われた。支援者団体に同行してもらうと、役所は一転申請を受け付けた。「何やねん、という気持ちだった。在日は生活保護が受けやすいとかネットで言われてるけど、そんなことはない。扱いは悪い意味で日本人と同じだ」と断じる。
京都府内に住む在日コリアン2世の男性(79歳)も、外国人受給者バッシングに反発する。「外国人がなぜ目の敵にされるのか。困っているから、生活できないから、命をつなぐために保護を受けているだけなのに」
家賃2万円、築50年になるアパートに一人暮らし。兄弟は障害があるなど、頼れる親類縁者はいない。会社勤めをしていた若いころは、年金の保険料を支払っていた。「生活保護は考えたこともなかった」が、保険料の支払い期間が足りず、無年金に陥った。2004年から保護を受けている」「最後に詰まってもうたから保護を受けたのに、あかんのですか。保護を受けることは悪くないと、国にきちんとやってもらいたい。
日本人と同じように暮らす外国人の罵倒が許されていいんですか」と訴える。
引用:中日新聞 特報10版
生活保護制度の変遷
旧生活保護は1946年に成立し、「生活の保護を要する状態にある者」という趣旨であり、何も日本国民に限定するものではなかった。しかし、憲法25条の生存権が成立すると生活保護法も変わることになった。1950年に施行された現行の生活保護法は「すべての国民」に対し、最低限度の生活を保障し、自立を援助することを定めたものである。
つまりは生活保護の受給者の範囲を「すべての人」から「日本国籍者」に限定したのである。
ところが….新法施行後には「放置することが社会的人道的にみても妥当でなく他の救済の途が全くない場合に限り」外国人を保護の対象として差し支えない旨の通知がされることになる。簡単にいうと、「自治体の裁量に任せますよ」ということである。さらに1945年に旧厚生省から都道府県知事に宛てて、「生活に困窮する外国人に対しては日本国民に準じて必要と認める保護を行いなさいよ」という趣旨の通知がされている。
その後、日本政府はサンフランシスコ講和条約や人権宣言等の国際規約の批准を行い、人種差別撤廃に向けた法整備が進むことになる。
今回の最高裁判決の要旨をみてみると、現行の生活保護法が制定された後、現在に至るまでの間、保護の対象を一定範囲の外国人に拡大するような法改正は行われず、またその旨の法令等も存在しないことを根拠にしている。つまりは、生活保護の受給者の範囲を「日本国籍者」に限定した生活保護法の解釈をそのまま適用したのが今回の最高裁判所の判断である。
要は、「外国人は生活保護法に基づく保護の対象とはならない」ということを改めて示したものと言える。
現在の生活保護受給の統計
下記の表は厚生労働省が発表している「日本国籍を有しない被保護実世帯数・実人員の年度別」の統計白書です。
厚生労働省 第3編 社会福祉 第1章 生活保護 ページより引用
区分 | 平成18年度 | 平成19年度 | 平成20年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 |
---|---|---|---|---|---|---|
延被保護実世帯数 | 362,085 | 373,101 | 385,870 | 444,293 | 500,172 | 532,369 |
一ヶ月平均 | 30,174 | 31,092 | 32,156 | 37,024 | 41,681 | 44,364 |
延被保護実人員 | 581,012 | 598,073 | 617,297 | 731,467 | 827,584 | 876,357 |
一ヶ月平均 | 48,418 | 49,839 | 51,441 | 60,956 | 68,965 | 73,030 |
※【用語解説】:被保護世帯・被保護実人員
現に保護を受けた世帯数・実人員(月中に1回でも生活保護を受けたもの)又は(月の初日から末日まで引き続いて保護が停止されていたもの)
上記の統計からわかるのが、生活保護を受けている外国籍の世帯数及び人数が年々増加傾向になっている。ということである。本来の生活保護の目的は「自立をうながす」ことであるが….政策又は制度の不備により歯止めがかかっていない状況だ。
(※日本国籍者の生活保護数も年々増加傾向にある)
ネットで検索すると…
ネットでは実に様々な情報を閲覧することができる。「生活保護 問題」で検索すれば、数えきれないほどのページがヒットする。この中でどの情報が正しいのかを見極めるのは非常に難しい。デマや憶測に基づいて書かれているものもあれば、統計などを引用して意見を述べているページもたくさん混じっているからだ。
(とはいえ統計なども詳細な情報が明記されているわけではない。例えば、生活保護を受給してい外国籍の割合などは統計になっていない)
wikipedia等にも情報があるが、これも全て真実とは限らないので、全てを鵜呑み(うのみ)にするのは正しい判断とは言えない。ネットで調べた限りでは「1950年の長田区役所襲撃事件(報道)」「韓国籍者(又は中国籍者)による相次ぐ生活保護不正受給事件(報道)」「反社会勢力による不正受給問題(報道)」等の情報がたくさん出てきた。
上記の内容は実際に報道されたことから、これらの情報は確かなことといえるだろう。おそらく在特会の主張もこうした事実を根拠にしてデモをしているのではないだろうか?
(※在特会に確認したわけではないので推測)
また、自民党の片山さつき議員の発言によれば「外国籍の生活保護の保護率は日本人の2~3倍であり、約3分の2が朝鮮半島の出身者の方だ」と語っている。どこの資料を参考にしたのかがわからないが、これは政府内で調べた統計なのだろうか…。もし、それが事実であればその資料を公開すべきだと思う。
その資料の統計をみれば過去にどのような推移で変化しているかがわかるのでこの記事のコメントも少しはマシになるかもしれない。
(※公開すると民族差別!とか騒がれるから公開しないのかもしれないが…)
私の生活保護問題の認識
一つの事実として、統計にもある通り生活保護は年々増加しており、喫緊(きっきん)の課題であることは確かな事だと思う。このまま何の政策・制度の改正もなく現状維持ならば、その負担は日本国民に大きくのしかかってくることは確実だからだ。今回の判決である「生活保護を日本国籍者に限る」という最高裁判所の判断も概ね(おおむね)正しいと思う。優先させるのは日本国籍者であり、余力(余裕)ができたら外国籍者にも生活保護の制度を広げればいいのである。
なぜなら、お金は無限にあるわけではないからだ。
特に地方自治体にはそんなお金の余裕がある県はないはずである。残念ながら、全ての人々(外国籍者)を救うことはできないことは明らかだ。また今後、消費増税10%になり、さらに日本国民の生活が苦しくなる中で、そんな余裕はますます無くなるはずである。「限りある生活保護の財源をどのような優先順位で使うのか」という問いに対して、私なら当然、「日本国籍者が優先される」と答えるだろう。なぜならこの国は「日本」という国なのだから。
とはいえ一方で、「人道的な観点」も考慮しなければならない。ケースバイケースだが、難しい問題でもある。今アメリカや欧州でも生活保護に対する問題が大きくなりつつある。どこの国でも、生活保護の問題に対して頭を痛めている。何も日本だけに限ったことではない。
(※アメリカや欧州の生活程問題については別の記事でまた書きたいと思う)
結局私は何が言いたいかというと、「その国の国籍を有する者はその国が面倒をみる」ということだ。それが本来のありかただと思う。
(※しかし生活の実態が多様化しているのも事実であるが…)
今後日本政府が生活保護についてどのような方針を示すのか、注視していきたいと思う。