• 2014年2月18日

デジタル教科書 は効果あるの?

デジタル教科書 は効果あるの?

デジタル教科書 は効果あるの? 424 283 パソコン生活サポート Pasonal

タブレット端末の普及などとともに、デジタル教科書の注目度が高まっています。国は実験的に導入し始め、各教科書会社も開発を進めているようです。果たしてデジタル教科書は学びの向上につながるのでしょうか?

今回はデジタル教科書について記事を書きたいと思います。

 

デジタル教科書で出来ること

教室ではできない理科の実験動画でみることこが出来るなどの利点があります。通信ネットワークでつなげて、それぞれの子供のデータを蓄積、管理でき、過去の問題の正誤をもとに、苦手分野を克服するための宿題を自動的につくることも技術的に可能です。

 

導入の効果はあるようだが・・・

これによって個別指導型の学習が可能になるという声がありますが、疑問を感じます。コンピューターが論理的な記述や数学の証明門を理解したり、採点することは現時点では不可能です。学習記録をもとに最適な問題を出せたとしても、計算問題などドリル的なものばかりになってしまうでしょう。一般的に言われているような効果が上がるとは思えません。

 

ではどのような学習が必要か?

答えを入力してその場で正誤が分かれるというのはゲーム感覚で楽しいかもしれません。ですが、ドリル的な計算問題に強くなるだけだと思います。これからはコンピューターが苦手とする抽象的な思考力などを、どう伸ばしていくのかを考えなければならないでしょう。

 

ハイパーリンクも特徴の一つだが・・・

ハイパーリンク(参照機能)を使えば、国語などで知らない意味の語句が出来ても、クリックすれば意味や補足を素早く確認することができます。便利だが、認知科学の研究では、途中で参照先を開きながら文章を読むと、全体的な理解度は下がるという結果が出ているます。

参照機能が出てくるたびに、「押すか、押さないか」という選択を無意識に迫られ、負荷が増すためと考えられるでしょう。

 

ハード面については・・・

タブレット型端末は現時点では学習に向いていません。紙のように机に広げて、同時にいくつもの使用をみることが困難だからです。タブレット型端末では長文を打ちにくいと思う人が多いと思います。現在では2in1のようなセパレート型のパソコンの登場で、利用シーンが広がっているようです。

これを学校現場に置き換えると、設問に対し、答えが短い方が楽という流れになるのではないでしょうか。論述や証明は紙に書けばいいというならば、そもそもデジタル化の意味がないことになります。

 

コスト面はどうか?

現在、教科書を無償提供するのにかかっている費用は約400億円で子供一人当たり4千円です。廉価なタブレット型端末が出来ても、画面が小さかったり、入力方法が限られるなどの制約が予想されます。

 

早い段階からITを学んだほうがいいのでは?

インターネットは目まぐるしく流行が変わります。10年前は主流でも今は誰も使わないものも多いでしょう。小学生で慣れても、大人になるころには全く違うハードやソフトになっているかもしれません。ITは大学や高校など社会に出る直前に多く学べるようにしたほうがよいでしょう。

1960年代にテレビが子供の学びに視聴覚用の教材が整備されました。今テレビが学習の質を高めると考える人がどれだけいるでしょうか?デジタル教材についても冷静に議論し、さらなる検証が必要です。

 

デジタル教科書を導入した海外はどうか?

上記までの記事は比較的、デジタル教科書に難色を示したものですが果たして・・・。

まずは下記の図を見てください。

 

読解力

読解力とは、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考し、これに取り組む能力」である。

OECD 生徒の学習到達度調査

 

読解力が上位の国(上海、韓国、フィンランド)はいずれも、学校にデジタル教科書を導入している国である。つまりは情報機器を教育に活用している。また、現在ではフィンランドは小学校からタブレット型端末を生徒全員に配布して、授業で活用しているようである。

あくまで2009年度の調査結果だが、上位の国はいずれも授業でデジタル機器を活用している国です。もちろん、授業や指導によっても変わってくるでしょうが、小学生のうちからデジタル機器を学ばせることは決してマイナスではないということがデータから分かります。

実はこの上記の表には書かれていないが、男女差においても面白い結果が出ています。男性よりも女性の方が得点が高いのです。特に男女差が一番高いのはフィンランドで、男性508点に対し、女性が563点であり、女性が男性よりも55点高い結果となっています。

総じて、女性の方が優秀なのだということでしょうか・・・。

次に数学・科学リテラシーの結果を見てみよう。

 

数学的リテラシー

数学的リテラシーとは、「数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族や親族との社会生活、建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において確実な数学的根拠に基づき判断を行い、数学に携わる能力」である。

 

科学的リテラシー

科学的リテラシーは、個々人の次の能力に注目する。

  • 疑問を認識し、新しい知識を獲得し、科学的な事象を説明し、科学が関連する諸問題について証拠に基づいた結論を導き出すための科学的知識とその活用。
  • 科学の特徴的な諸側面を人間の知識と探究の一形態として理解すること。
  • 科学とテクノロジーが我々の物質的、知的、文化的環境をいかに形作っているかを認識すること。
  • 思慮深い一市民として、科学的な考えを持ち、科学が関連する諸問題に、自ら進んで関わること。
OECD 調べ(2009年) 数学・科学的リテラシーの平均得点
 数学・科学リテラシー 平均点 国際比較
ここでもやはり、上位には先ほどの国々がランクインしている。もし、デジタル教科書がマイナスの要因を生むのならば、この順位はないはずである。

やはり、上位には先ほどの常連国が名を連ねています。デジタル教科書には日本国内でも大きく意見が分かれていますが、少なくともデータを見る限り、デジタル機器が教育に及ぼす影響は決して悪くはないと言う結果になります。もし、デジタル機器により学力が低下するようであれば、上海やフィンランドといったIT機器を積極的に導入している国はこのような結果にはならないからです。

 

要は、デジタル機器を「使う」・「使わない」の議論ではなく、デジタル機器をどのように活用したら、より効果的で深い知識を身に付けることができるか?という、いわば活用の方法を議論したほうが良いのではないでしょうか?結局は大人たちの取り越し苦労(考えすぎ)によって、現場が混乱しているように思います。やるならやる!やらないならやらない!でキッパリ進めたほうが、子供たちのためになると思います。

もちろんそれなりの予算を確保しなければならないのだが・・・

 

中途半端だと何より、教育現場の先生たちも大変だと思います。もちろん、拙速な導入ではなく、キチンとノウハウをもった教育者も育成しなければなりません。

果たして日本はどのような道をたどっていくのでしょうか?

教育におけるデジタル化の普及は今後も注視していく必要がありそうです。