• 2014年8月19日

熾烈な外資たたき 中国の今を追う

熾烈な外資たたき 中国の今を追う

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中国が日米欧企業を独禁法調査

「日本の自動車メーカーは中国で試練に会うかもしれない」。日本メーカーの独禁法違反の疑いに対し、こう論じたのは中国メディア・中商情報網だ。問題が表面化したのは、中国メディアが今月初旬、独メルセデス・ベンツやアウディ、米クライスラーなど複数の欧米自動車メーカーが相次いで調査を受けていることがきっかけだった。

6日には中国の調査委員が日系12社も部品やベアリングの書かで調査し「近く処罰する」と発表した。

内訳は不明だが、報道によるとトヨタ自動車・ホンダ・日産自動車の大手3社が含まれ、ウィンカーやバンパー、エアバックなど補修用部品を価格を不当に引き上げている疑いがあるという。欧米企業各社については高級輸入車の価格つり上げも指摘され、トヨタは高級ブランド「レクサス」が調査を受けていることを認めた。

調査という名目の「狙い撃ち」

「十分な聞き取りもなく、行政手段で懲罰や改善を強いようとしている」。懸念の声明をだしたのは欧州企業約1800社で構成する中国欧州連合商工会議所だ。中国では昨年から液晶パネル価格で韓国のサムスン電子やLG電子、粉ミルクで米系企業などに相次いで罰金を科した。

7月には米マイクロソフトも調査。

中国の自動車市場は世界最大となり、日米欧、韓国などのメーカーがしのぎを削るが、「自社ブランド」と呼ばれる純国産車の販売が低迷している。このため、外資系企業を狙い撃ちしたかのように「調査」という名目で「外資たたき」が始まったとする見方が強い。

 

チャイナリスク再び

日系各社が詳細をかたらないなか、北京の日系メーカーはこう語った。「価格を下げれば競争が激化し、困るのは中国メーカーだ」中国の調査に対し、日米欧のメーカーは価格の引き下げを発表。自発的な対応で者分を軽くしたい思惑があるとみられる。

ある経済新聞紙によると、日系12社への処分が月内にも出され、罰金は総額約160億円以上になると伝えた。2012年の尖閣諸島国有化に伴う反日デモなどで、日本車の売り上げは軒並みダウン。処分が出れば日系企業に打撃を与えるのは確実だ。

ある日系企業関係者はこう語る「中国では当局に逆らえない….」

 

中日新聞:総合11版

 

1980年代のアメリカ vs 日本

かつては日本車も欧米で大変なバッシングに会った経験がある。1980年代、アメリカ自動車会社にとって日本車は憎悪の対象そのものだった。アメリカでは当時、ビッグスリー(GM / フォード / クライスラー)と呼ばれる大手自動車会社が絶大な影響力をもっており、まさしくアメリカでは純国産車が圧倒的な優位を占めていた。

そこに、安くて品質のよい日本車の登場である。当然、アメリカの大手自動車会社は低価格で品質のよい日本車に押されはじめた。激怒したアメリカのビックスリーは、何とこの問題をアメリカ政府に働きかけ、日米間の政治問題としてぶち上げたのである。

「日米貿易摩擦」の始まりだ。

日米貿易摩擦

 

本来、企業というのは勝ち残りをかけて競争するものだ。それが資本主義の根幹である。だからこそ、企業は「商品の品質」「サポート」「価格力」を高めてしのぎを削り勝負するのである。だが、当時のアメリカは自分たちの作る車の品質を上げようとはせず、政府の圧力を利用することで外交問題に発展させ、日本の自動車を駆逐しようとしたのである…。

結果どうなったか….、車社会で圧倒的優位を誇っていたアメリカの大手自動車会社(ビックスリー)はことごとく壊滅的な状況(破たん寸前)に追い込まれた。

それは当然である。

なぜなら、日本の自動車会社はアメリカ政府の圧力にも負けず、実直に車の品質向上に努めたからだ。「よりよい品質を」「よりよいサポートを」「もっとリーズナブルな価格で」をただひたすら追い求めたのだ。まさしく血のにじむような努力と経営コストの削減(トヨタ方式)により、日本車の品質(製品・価格など)は大きく向上したのである。

1980年代の貿易摩擦から現在でおよそ40年という月日が流れた…。現在はどうなっているかというと皆さんご存知の通り、アメリカでは日本車が圧倒的な販売台数と売上を記録している。

また、車の品質評価でもTOP10は軒並み日本車ばかりだ。

 

それどころか、日本車は今や欧米では「ステータス」でもある。日本車=高品質(ブランド)となっているからだ。映画やアニメの影響もあってか、アメリカの若者たちの間では日本のスポーツカーの人気はもはや不動のものといってもいいだろう。さらには最先端技術(ハイブリットや電気自動車)では欧米企業より優位にたっている。

この競争社会では実直な商品開発を行い、ユーザーの満足を獲得できた会社こそが生き残るのである。

 

学ばない中国

2012年の尖閣諸島国有化にの反日デモはまだ記憶に新しい。日本の自動車は暴徒に襲撃され、粉々に破壊。工場には火をつけられ「焼き討ち」にされた。それどころか飲食店までも襲われて、店もめちゃくちゃに。

反日暴動

日本車を破壊する中国の暴徒

いったい中国はいつまでこんなことを繰り返すのか?純国産車が売れない原因は価格ではい。品質・サポートの問題なのだ。今、中国は1980年代当時の日米貿易摩擦と同じ道を歩もうとしている。

政府の圧力によって外資をたたき、純国産自動車を守ろうとする動きである。

私はかつてのアメリカのビックスリーと今の中国の姿が重なってみえる。外資をたたくのは結構だが、将来大損をするのは確実に中国の自動車会社である。日米欧の自動車に対抗するためには、中国の自動車会社が経営努力を行い他社にはない特色をもった独自の機能を付加するか、品質を他社よりも向上させることだけだ。政府の力で会社を守れば守るほど、中国の自動車会社は将来力を大きく失うことになるだろう。

だがきっと今の中国政府に何を言っても「馬の耳に念仏」だと思う。かつてのレアアース問題のように苦しむのは日本ではなく中国のほうだ。まさしく「学ばぬ者は同じ過ちを繰り返す」である。