電車での通勤を経験したことある人なら誰でもこう思うだろう…「またギュウギュウの寿司づめか」と。電車は庶民の足には欠かせない公共交通機関だが、そこには様々な問題がはらんでいる事も事実です。狭い空間に男女がいればなおさらですよね..。
女性専用車両を各鉄道社が導入しはじめ、その動きは徐々に広がりつつあります。世論は賛否両論うずまいていますが、今回は「女性専用車両」について記事を書きたいと思います。
女性専用車両と歴史的な経緯
快適な利用しやすい鉄道を目指しており、痴漢などの車内犯罪防止の観点から、関東・関西の鉄道事業者で導入されている取り組み。「男性の乗車に対しては禁止する法的な根拠がなく、男性利用者の協力のもとに成り立っているもの」としている。
現在では女性専用車両の存在は、社会的認知も進んでいます。
女性専用車両の歴史
1912年 | 婦人専用車両の登場 | 短期間で廃止 |
1920年 | 御婦人専用車両の登場 | その年で廃止 |
1933年 | 神戸女学院貸切車の登場 | 1937年に廃止 |
1947年 | 婦人子供専用車両の登場 | 廃止・シルバーシートの導入の始まり |
1957年 | 老幼専用車の登場 | 1958~1961年に廃止 |
2000年 | 女性専用車両の登場 | 現在まで各鉄道会社にて継続中 |
参照資料:国土交通省 – 女性専用車両、wikipedia 女性専用車両
上記の表からもわかるように、女性専用車両の導入は近年に始まったことではなく、古くは80年以上前から導入されていたことがわかります。しかし、どういう経緯でか短期間で廃止されたり、取りやめになったケースが多いですね。
詳細までは調べていないので、詳しいことはわかりません。
何しろ80年以上前となると、ネットも普及していない時代のためか資料が見つかりませんでした。また、鉄道各社は「女性を守る」・「女性の人権の向上」という名目で導入されている事例がほとんどでした。
女性専用車両の根拠と女性の意識調査
下記の文章は国土交通省が平成11年に実施したアンケートの結果です。
いくぶん古い資料ですが、女性男性ともに「痴漢行為」や「セクハラ」行為が問題であり、「女性を尊重していない」という意識が高いようです。確かに電車は密室故に逃げ場がありません。また、多くの女性が心無い男性からの不愉快な行為や言動を受けているケースも少なくないようです。
また、「女性=痴漢の被害者」という認識から「女性を守る」という社会の声を反映した結果であるともいえます。
女性専用車両のメリットと問題点
利用者のメリット
- 女性が痴漢の被害に合わなくてすむ
- 女性が男性の視線を気にすることもなく電車に乗れる
- 妊婦への危険が減る
- 痴漢に疑われる男性(冤罪)が減る
女性が痴漢の被害に合わなくてすむ
これが一番のメリットではないでしょうか。これは女性にとって安心できる理由の一つだと思います。実際に女性専用車両を導入してから痴漢などの犯罪認知件数が低下しています。しかし、「女性専用車両=女性の隔離(かくり)」と捉えている女性評論家もおり「根本的な解決策となっていない」と主張する意見もあるようです。
女性が男性の視線を気にすることもなく電車に乗れる
「男性の視線を気にすることなく….」というのは理由としてはちょっとおかしいと思います。(※そんなことを言っていたら会社とかでやっていけない気がするのだが…)
これは女性のワガママのような気がします。これが通るのであれば、常にファンに付きまとわれている芸能人のための「芸能人専用車両」があっても文句いえないことになります。
妊婦への危険が減る
これはいいメリットですね。寿司づめ状態の車両に乗るなんてのは自殺行為。妊婦さんは本当に大変を思いをして歩いているし、疲れやすいので優先的に座らせてあげたいですね。
痴漢に疑われる男性(冤罪)が減る
男性側にとっては冤罪が減るのもメリットといえます。最近では冤罪を狙った女性の詐欺が多発していて男性が金銭を脅し取られるケースも多発しているようです。統計では冤罪で裁判になるぐらいなら、多少の金銭でも払ってしまう人が多いようです。
統計は氷山の一角なので、表に出ていないケースはさらに多いでしょう。
鉄道会社のメリット
- 女性専用車両の広告収入の増加
- 導入コストを抑えられる
女性専用車両の広告収入の増加
女性専用車両には主に女性しか乗車していないため、広告のターゲットが明確であり、一般車両と比べて広告効果が上がります。そうなると当然、広告会社の競争率が増し、鉄道事業者の広告収入が高くなります。
女性専用車両を導入することで鉄道会社にもメリットがあるというわけですね。
導入コストを抑えられる
鉄道会社からしてみれば、防犯カメラの設置や人員(パトロール)の増員などはかなり多くのコストがかかります。それに比べて女性専用車両のは最低限のステッカーや広報などの費用を軽減できるメリットがあるといえます。
女性専用車両の問題点
- 女性専用車両内での車内で化粧・飲食・大声でしゃべる等のマナー違反が多い
- 利用率が低い
- 男女(男性)差別の問題
- 認知度(勘違い等)から別の差別が発生
- 女性専用車両という名称の問題
女性専用車両内での車内で化粧・飲食・大声でしゃべる等のマナー違反が多い
これは女性が女性に対して抱く不満が大きくなったというこです。同じ女性同士のためか、ついつい気が緩くなりマナー違反する人が結構いるようです。
とくに電車内で化粧する人が多発しているようですね。
一般車両の不満が増大
限りある車両の一部を女性専用車両にするということは、そのぶん一般車両のスペースが狭くなるというこです。また、時間帯によって女性専用車両はガラガラの状態、一般車両は寿司づめ状態という状況も少なくありません。
「同じ金額を払っているのになんで….」という不満も多いようです。
男女(男性)差別の問題
近年の女性専用車両の増加の一方で「逆に男性差別である」という主張を行う団体も増えています。鉄道会社では「あくまでも女性の痴漢被害を減らし、精神的不安もなくす」という目的で導入しています。
女性専用車両は女性限定ではなく、実際は男性も利用可能であると鉄道会社の方針で決まっています。
- ※外国では女性専用車両を導入している国もあるが、やはり賛否両論分かれている。
- ※イスラム諸国(パキスタン・イラン・エジプト)では宗教的な理由から導入している国もある。
- ※イギリスなどでも女性専用車両の問題が大きくなり、女性専用車両の反団体が多く活動している。
認知度(勘違い等)から別の差別が発生
上記でも述べたが、女性専用車両は別に男性を排除するための車両ではありません。一般の男性や小学生、お年寄り・障害者の人も女性専用車両を利用できます。しかし、「女性専用車両=女性だけ」という思い込みから、女性専用車両に乗った障害者の方や男性が女性から罵声を浴びせられるなどの事例が少なからず発生しているようです。
女性専用車両という名称の問題
上記でも述べたが、「女性専用車両=女性だけ」という間違った認識が広がっています。「女性専用」という表現では女性以外(一般男性、小学生などの男児、身体障害者と介護者)が利用しずらいとの意見も多数あるようです。
このため一部の鉄道会社などで「女性専用車両」という表現を「女性と子どもの安心車両」という表現にかえる取り組みがなされているようです。
参考資料:警察白書 平成 12 年度版「時代の変化に対応する刑事警察」 警察庁
私の思うところ
女性専用車両は基本的には賛成です。
この車両の導入によって救われた女性たちや男性に対する冤罪が減ったことは紛れもない事実でしょう。しかし、逆に女性専用車両を導入したがゆえに新しい問題も発生しているのも現実のようです。
私はこの問題の一番の原因は鉄道会社にあると思っています。
本来ならば女性専用車両の他に車両を増設してスペースを少しでも確保すれば済む問題なのではないでしょうか?今のように、女性専用車両はガラガラ、一般車両はギュウギュウでは利用者の不満が増大するばかりです。だが、鉄道会社はコストの問題から車両の増設を行わず、既存の車両を女性専用(低コスト)にすることで対応しました。もっといえば各鉄道会社でやっていることがバラバラなのも一因だと考えられます。
いっそのこと、法律を作ってくれたほうが徹底しやすいのではないでしょうか?
(※差別を助長することになるため、たぶん無理だろうが…)
結局、男性・女性、全ての人にとって最良の方法などこの世には存在しないことは分かっているつもりですが、「女性専用車両」には問題点も色々と多いようです。他の利用者の不満を改善していくことや、効果的な運用などを今一度、見直していく必要があるのではないでしょうか?
「誰かにとっての最良の方法は、他の誰かにとっては不便」は世の常だが、それでも我々はより良い方法を模索していくほかないのです。
あなたはどう思いますか?
女性専用車両に関連する参考記事
女性専用車両はNY(ニューヨーク)ではありえない?!
日本の男性が寛容なのか、それとも無頓着なのか・・・、国によって議論が起こっているようです。