• 2017年3月31日

栃木県のスキー場で雪崩 8人死亡の悲劇

栃木県のスキー場で雪崩 8人死亡の悲劇

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栃木県のスキー場で雪崩 学生が犠牲に

猪瀬教諭は登山講習会の責任者として引率していたが、生徒らに雪崩の対処方法を教えていなかったことを明らかにした。

講習会は県高校体育連盟主催で、積雪期の登山に必要な知識や技術を習得するため、県内から7校が参加していた。

猪瀬教諭は、当初予定していた登山から、雪をかき分けて道を作りながら進むラッセル訓練に変更したことについて、「絶対安全だと判断したが、こういう事態になり反省しなければならない」と謝罪。自身は旅館に設置した本部にいたため、現場にいた講師役の教諭2人と電話で話し合って決めたという。「雪崩の危険は前日にテレビで知っていたが、起きやすい地形に近づかなければ大丈夫だと思った」と説明した。

事故を知ったのは、発生から45分近く経過した27日午前9時15分ごろ。引率教諭の1人が「緊急事態です」と本部に駆け込み、救助を要請した。猪瀬教諭は現場とやりとりできる無線機を携行していたが、荷物の運び出しなどで車に置いた時間帯があったという。「その間に呼び掛けがあったか分からないが、不用意だった」と述べ、自身のミスで救助が遅れた可能性に言及した。

遭難した際に自分の位置情報を発信できる機器「ビーコン」などを生徒に持たせなかった点については、「雪崩の危険がある山には行かないので、義務付ける認識はなかった」と発言。雪崩が起きた場合の対処方法も今回の講習で教えておらず、「危険な場所には行かないのが大前提だった」と釈明した。

植木校長も「あってはならない痛ましい事故になってしまい、心からおわびする」と謝罪。「原因究明に誠意をもって協力し、今後何をすればいいか考え続けたい」と話した。同校の山岳部は当面活動を中止する。

引用:Yahooニュース

山の恐ろしさ

登山経験が豊富だったベテランがいたにも関わらず、今回の雪崩が起きてしまいました。

天竜川の転覆事故のように、あきらかに過失があるものも過去に何度かありましたが、今回のケースは雪崩を予見することはできなかったのでしょうか。平成10年に北海道のニセコで起きた雪崩では、裁判所では予見可能性を認定し、有罪判決がでています。

今回のケースは、これからになるのでしょうが、学校側の過失の有無を含めて捜査が始まります。ご子息を突然亡くされた親御さんにとっては、現在つらい状況に置かれていますが、真相の究明も徐々に明らかになればと思っています。

近年ではブームもあり、非常に身近になった登山ですが、老若男女問わず、山に関する事故が大きくクローズアップされてきました。

バックカントリーでのスキー中の事故や、無届での登山、装備不足、経験不足など様々ですが、2017年に入ってからも、すでに全国で70件以上の事件・事故が起きています。

登山はどんなに経験を積んだベテラン登山者であっても、事故に巻き込まれることは少なくありません。

登山に関する知識と経験はもちろん、万が一に備えて装備を万全に整えるという事前準備も必要になります。後にも先にも、登山での事故は尽きませんが、今回は特に雪山の恐ろしさが分かったケースではないでしょうか。

参考文献:りんどう山の会

 

学校の判断は正しかったのか

今回、栃木県のスキー場で起きた痛ましい事故が起きました。

学校によると、この登山は毎年恒例となっており、多くの学生が県内から参加していたようです。

いずれの教諭も登山のベテランであり、今回の悲劇がなぜ起きたのか、回避できなかったのか、など世間の批判に晒されているようです。

雪崩と聞くと、あまり知識の無い人は「怖い」というイメージしかないと思います。

では何が「怖い」のでしょうか。

雪崩に巻き込まれた場合の生存率は、およそ50~55%ほどと言われています。

これが多いのか、少ないのか、あまりピンときませんが、雪崩に巻き込まれた人の半分以上が死亡しているということになります。昔聞いたことがあるのが、雪崩で巻き込まれて雪に埋もれてしまった場合、その雪の硬さはコンクリートに匹敵すると聞いたことがあります。

四方八方、コンクリートの中に閉じ込められる、これを想像しただけでゾッとします。

記事によると、参加していた生徒には万が一のためのビーコンは持たせていなかったようです。専門家は今回の件をどう見ているか分からないですが、学校側の記者会見での「絶対安全」という言葉には違和感がありました。

「どこかに自然に対する驕りがあったのではないか」と、そう思えてなりません。

これは結果論でしかありませんが、将来ある若い学生が8人も亡くなっている以上、真相究明が必要でしょう。

 

割れる是非

スポーツ庁は今回の事故直後に全国の都道府県教委に高校生の「冬山」登山を原則禁じるよう再通知した。毎日新聞が関東・東北の1都12県の高校体育連盟に取材したところ、青森▽秋田▽宮城▽山形▽福島▽群馬▽栃木–の7県が11~3月の積雪期に登山技術の講習会を開催しており、いずれも入山時期の見直しや雪崩遭遇時に位置情報を知らせる電波発信機(ビーコン)の配備など、安全管理を見直す検討を始めたと回答した。

ただ、特に東北地方の担当者は「一部の山は6月ごろまで雪が残り、春でも冬の気象条件になることがある。『冬山』の定義がはっきりしないのが問題だ」と不安を口にする。

こうした現場の悩みに理解を示すのは、世界的な登山家、野口健さん(43)だ。雪崩のリスクは冬より春の方が高いことから季節で区切ることに疑問を呈し、毎日新聞の取材に「今回の事故は、責任者が現場を見ることもなく急きょ予定を変更するなど、責任者に基礎知識が欠けていた。問題の本質は判断ミスで、冬山だからというわけではない」と言い切る。

野口さんは夏山でも暴風雨による低体温症の遭難が起きる可能性があることなどを指摘したうえで、季節ごとの一律規制よりも、状況を見極める能力を重視している。また、「引率者である教諭の役割は山岳ガイドに等しい」と話し、登山は命にかかわる活動だということを念頭に、顧問の教諭が山岳ガイドの資格を取ったり、外部の専門家をコーチに招いたりするなどの対応が必要だとも話した。

引用:Yahooニュース

 

対策の難しさ

専門家でもある登山家・野口健さんがおっしゃっているように、現場責任者が経験豊富な登山家であったがために、現場を確認せずに日程を強行しことも原因の一因のようです。

「問題の本質は判断ミスであり、冬山だからではない」

この言葉は、まさしくその通りだなと思います。

今回は雪山がクローズアップされたものの、登山はシーズン問わず危険だということです。冬でも、夏でも、登山による死者は毎年のように増えています。

私たちは、入山のルールに従い、万が一に備えて行動するほかないのではないでしょうか。

本当に、今回の雪崩で犠牲になった個人の方は気の毒でなりません。

少しでも事故を低減できるような対策が必要です。